「仮押さえできます!」という仲介業者に注意すべき理由|先行申込み・先行契約との違い

不動産相談

谷島 直樹

筆者 谷島 直樹

不動産キャリア5年

賃貸物件を問い合わせると、たまにこんな案内をされることがあります。

「今なら仮押さえできますよ」
「とりあえず押さえちゃいましょう!」

一見お得で親切な提案に聞こえます。

しかし賃貸仲介の現場において仕組みとしての「仮押さえ」は存在せず

あくまでもお申し込みはお申し込みとなってしまう。

という、少し注意した方がいいポイントがあります。

一方で、退去前の物件ややむを得ない事情がある方のために

  • 先行申込み、先行契約といった「実務上の文化」も確かに存在します。

この記事では、「仮押さえできます」という案内にどう向き合えばいいのかを、

  • 実務の現場

  • 借主側の目線

  • 情報の非対称性

という3つの観点から整理してみます。

※特定の会社や業者を批判する意図はなく「仕組みの理解」と「自分の身を守るための考え方」としてお読みください。


1. 賃貸借契約に「仮押さえ」という正式な制度はない

まず押さえておきたいのは、

「仮押さえ」というシステム自体は存在しない

という点です。

現場で「仮押さえ」と呼ばれているものはだいたい次のいずれかです。

  1. 契約までは好きなだけ申込みキャンセルを繰り返しても良いという価値観

  2. ある種のグリップ的なところでお申し込みをしたというポジションを確保したい

  3. 昨今の賃貸事情的に戦略的にご案内をする点は致し方ないとも思いますが、

仲介会社や管理会社の慣習・運用に大きく依存しています。

ただ「実際に何が起きるのか」は会社ごとに違う。

ここが、借主側からすると一番ややこしく、怖いポイントです。


2. 退去前の物件などで行われる「先行申込み」「先行契約」

一方で、「全部怪しい話だからやめましょう」と言いたいわけでもありません。

実務上は、例えばこんなケースで

  • 退去前の物件

  • 海外赴任中・遠方在住で内見が難しい

などによって、先行申込み、先行契約といった形をとることがあります。

先行申込み

  • 内見前・退去前の段階で「一次情報、仲介会社からの情報を参照し希望に近そう」という際に文字通り先にお申込みをする事。

  • 物件は見られない状況ですが、申込書と入居審査に必要な個人情報を先に提供する

  • 多くの場合「内見後に気に入らなければキャンセルは可能」という前提のことが多い

  • 事前に情報を渡すのは嫌だ、、という方は非常に多いですがここを使いこなせると物件検索がグッと楽になります。


先行契約

  • より踏み込んだ形で、未内見のままお申込み、入居審査を進め審査承認後

  • 契約書・重要事項説明書まで作成し、署名・押印まで行う

  • 海外からの転勤など、「内見自体がほぼ不可能」でもこの物件に決めたい!

  • 貸主様、管理会社様の意向で未内見時のお申込みは先行契約に限るなどなど

  • この場合、キャンセル時の扱いは要注意

どちらも、

  • 入居希望者

  • 貸主・管理会社

  • 仲介会社

  • 業務として日々ごくごく執り行われる慣習です。

ただ、こういった 実務上の調整を、全部まとめて「仮押さえ」とだけ説明してしまうこと にあると考えます。


3. 「仮押さえ」と言われたときにチェックしたい3つのポイント

では、実際に仲介会社から

「今なら仮押さえできますよ」

と言われたとき、何を確認すればいいでしょうか。

最低限、この3つは聞いておくことをおすすめします。

① それは「先行申込み」なのか、「先行契約」なのか

まず、はっきりさせたいのはこの一点です。

  • 申込書を書くのか

  • 口頭ベースで可能なのか

  • 他の案件に捲られてしまわないか

曖昧なまま進むと、あとからこんなはずでは。になりやすいです。


② キャンセルはどのタイミングまで、どんな条件で可能か

次に大事なのは、

  • どこまでならキャンセルしてもペナルティがないのか

たとえば、

  • 退去前 → 先行申込み → 内見後に最終判断

  • この場合、「内見して気に入らなければキャンセルOK」が前提ならまだ理解できます。



4. 借主側から見た「先行申込み・先行契約」のメリットとリスク

公平に見るために、借主側の視点から
先行申込み・先行契約のメリットとリスクも整理しておきます。

メリット

  • 競争力の高い物件を他の人より先に押さえられる可能性がある

  • 遠方や海外など、内見のタイミングが限られている場合にチャンスを逃しにくい

  • 入居時期と募集開始時期のズレを埋めやすい

リスク

  • 内見前に思っていたイメージと実物が違う可能性

  • 個人情報だけ先に渡してしまいその後の対応が雑になるリスク

  • ※情報を取得しその後音信不通という事も残念ながらあるそうです。

  • 「とりあえず押さえましょう」と言われることで、冷静な比較検討がしづらくなる



5. カタロクが「仮押さえ」という言葉を使わない理由

都心の賃貸市場はどうしてもスピード勝負になる場面があります。

  • 人気エリアの築浅物件

  • 単身者向けのちょうど良い家賃帯

  • ペット可・SOHO可など条件の良い物件

こういった物件は、
「迷っている間に決まってしまう」のが日常です。

事実、今朝あった物件が昼頃にはお申込みありは日常茶飯事です。

その中で、お客様の時間とチャンスを守るために、
申込みの優先順位や、先行申込みのご相談をすることはあります。

あれもこれも入れちゃいましょうというご案内が多い中で戦略的にもやむを得ないこともございます。

ただカタロクでは、

  • 「仮押さえできます」という便利な言葉だけで済ませない

  • 実務的に何が起きるのかを、言葉でちゃんと説明する

  • どこまでが申込みで、どこからが契約かを一緒に整理する

というスタンスを大事にしています。


長々と書きましたが先行申込みは実際有利にお部屋探しを進める上で必要な手段ではあります。

ここ最近の賃貸事情は気になる物件を幾つかピックアップしてゆっくり回りゆっくり検討する

が通用しなくなりつつあります。

一昔前の煽る為の無くなっちゃいますよ!が今は本当に無くなってしまいます。



カタロクでは、

  • 今、別の会社から提案されている内容が妥当かどうか

  • 先行申込み・先行契約のリスクとメリットをどう見るか

といったご相談もお受けしています。

情報の非対称性で損をしないように。
そして、「なんとなく押し切られて契約した」を減らせるように。

そのための「部屋探しのOS」を、これからも発信していきます。


都心部での賃貸探しを検討されている方は、カタロクの物件検索サイト
「kataroku.jp」 もあわせてご覧ください。
物件情報だけでなく、「後悔しないための探し方」のご相談も承っています。

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