お客様は本当に業者からの提案を求めているのか?|人が介在する価値をどう届けるか
お客様は本当に業者からの提案を求めているのか?|人が介在する価値をどう届けるか
賃貸仲介をしていると、ふとした瞬間にこんな疑問が頭をよぎります。
「お客様は、本当に“提案”なんて求めているのだろうか?」
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「問い合わせた物件が空いているかだけ知りたい」
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「鍵だけ開けてくれればいい」
という方もいれば、
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「自分に合う物件をプロ目線で提案してほしい」
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「条件整理から一緒にやってほしい」
という方もいます。
こちらとしては「人が介在する価値」を届けたい。
一方で押しつけがましい提案はただのストレスになる。
この葛藤は、真面目にやろうとしている仲介ほど強く感じるところだと思います。
この記事では、あえてお客様視点に立ちながら、
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お客様はどんなときに「提案」を求めていないのか
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逆に、どんなときに「人に介在してほしい」と感じているのか
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仲介会社としてどのラインまで踏み込むべきなのか
を整理してみます。
1. そもそも「提案を求めていない」お客様もいる
まず認めておいた方がいい現実があります。
「業者からの提案なんて、正直いらない」
というお客様も、一定数いる。
たとえば、こんなタイプです。
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すでに「この物件」と「この条件」が明確に決まっている
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エリア・マンションブランド・賃料帯を自分で研究済み
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過去の部屋探しでしつこい営業を受けて警戒心が強い
こういった方にとっては、
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「他にもこんなお部屋ありますよ」
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「条件を少し広げてみませんか?」
という提案は、ありがたさよりも
「自分の質問には答えず他の提案か」
と受け取られてしまいやすいです。
つまり、提案そのものが悪いのではなく、
“提案される前の自分の状態” と噛み合っていないのです。
2. 「提案が嫌い」なのではなく、「売り込みが嫌いなだけ」というケース
一方でもう少し丁寧に見ていくと、
「提案が嫌い」なのではなく、
「売り込みが嫌い」なだけ
というケースも多いと感じます。
お客様が嫌がるのはたとえばこんな瞬間です。
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まだ何も話していないのに、条件と関係なさそうな物件を一方的に送られる
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自分のこだわりより、「今決めやすい物件」を優先して押される
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「早く申し込みましょう」「他にも問い合わせが来てます」が連打される(実務ベースで事実な事も最近は非常に多いです)
つまり、
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「あなたのための提案」なのか
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「こちらの都合の売り込み」なのか
の線引きが見透かされているということです。
お客様は思っている以上に鋭いです。
どちらのための提案かは言葉の端々やタイミングで伝わります。
3. 提案が「価値」になるのは、こんなとき
では逆にお客様はどんなときに
「人からの提案があって良かった」と感じるのでしょうか。
私たちの現場感覚ではこんなパターンが多いです。
① 条件を決めきれず、頭の中が整理できていないとき
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家賃もエリアも、なんとなくのイメージしかない
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何を優先すればいいか分からない
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ポータルサイトを見すぎて逆に決められなくなっている
こんなときに、
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「この条件なら、まずはこのエリアから見てみましょう」
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「お話を聞いていると、通勤時間より静かさを重視されていそうです」
と、情報ではなく“考え方”を提案してもらえると、お客様は一気に楽になります。
② 自分では思いつかない選択肢を知ったとき
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エリアを少しずらすだけで、条件が一気に良くなる
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同じマンションでも、“号室ごとのクセ”で住み心地が変わる
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図面には出てこないメリット・デメリットがある
こういった「経験からくる引き出し」は、
ポータルサイトではなかなか得られません。
「自分一人では絶対に出てこなかった選択肢を出してもらえた」
この瞬間に、人が介在する意味が生まれます。
③ 「決めていいのか」の背中をそっと押してほしいとき
最後の一押しで迷っているとき、
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「この条件なら、気持ちよく住めそうか」
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「数年後にライフスタイルが変わっても耐えられそうか」
といった視点で一緒に確認してもらえると、
決断への不安が軽くなります。
4. お客様が本当に求めているのは「提案モードを自分で選べること」
ここまで整理すると、見えてくることがあります。
お客様が本当に求めているのは、
「提案される/されない」の二択ではなく、
“どこまで介入してほしいか”を自分で選べる状態
かもしれません。
たとえば、
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Aさん:「この物件だけ見て決めたい。余計な提案はいらない」
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Bさん:「候補を3〜5件に絞って、一緒に比較してほしい」
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Cさん:「条件整理からやってほしい。そもそも何から決めるべきか分からない」
それぞれ、必要としている“提案の量”が違うわけです。
にもかかわらず、すべてのお客様に対して
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一律で大量の物件を送りつける
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一律で「他にもこんなお部屋がありますよ」を連発する
と、「押し売り」と感じる方が出てくるのは当然です。
5. 人が介在する価値=「情報」ではなく「解釈」と「安心」
最後に、「人が介在する価値」について、少しだけ整理してみます。
ポータルサイトが当たり前になった今、
物件情報そのものは、お客様だけでもかなり集められます。
むしろお客様の方が情報自体は多い何てこともあると思います。
では、それでも仲介が介在する意味はどこにあるのか。
私たちは、それを
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情報の“翻訳”をすること(=解釈)
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決断に伴う不安を一緒に引き受けること(=安心)
だと考えています。
所謂「コト」という領域なのかなと思います。
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図面・募集条件・口コミ・周辺環境の情報を、
「この暮らし方なら、こういうメリット・デメリットがあります」と翻訳すること。 -
「この条件なら、無理なく続けられそうか」
「今決めて、本当に後悔しないか」
といった不安を、一緒に受け止めながら整理していくこと。
これらは、AIでもポータルでもなく、「人」が得意な領域です。
ただし、その「人の介在」を価値として感じてもらうには、
「そもそも、どこまで関わってほしいか」が大事になります。
6. まとめ:あなたは「業者」に何をしてほしいですか?
この記事を読んでくださっているあなたは、
これからお部屋探しをするか、すでに動き始めている方かもしれません。
ポータル上ではとらえきれない情報を能動的に集めている情報強者でもあると思います。
最後に、こんな問いを投げさせてください。
あなたは、仲介業者に
本当は何をしてほしいですか?
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物件の空き状況の確認だけで十分なのか
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条件に合う物件をいくつか提案してほしいのか
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自分の状況や将来のことも踏まえて、一緒に整理してほしいのか
どれが正解、という話ではありません。
ただ、自分の中でこれがはっきりしていると、
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「合わない提案」にイラっとすることが減り
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「この提案は価値がある」と感じる場面が増えていきます。
カタロクとしては、
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「むやみやたら提案してくれる業者」ではなく人が介在することの価値を、
押しつけではなく「ちょうどいい距離感」で感じてもらえるような仕組みをこれから作っていければと考えております。
都心部での賃貸探しを検討されている方は、物件検索サイト
「カタロク公式サイト」 から、気になる物件のご相談も承っています。
「どこまで提案してほしいか」も含めて遠慮なくお伝えください。
